小説 高橋是清 第42話=板谷敏彦
有料記事
(前号まで)
鹿鳴館で夜な夜な開かれる舞踏会に浮かれ列強との不平等外交に甘んじる政府要人への不満が高まる中、欧米視察を終えた是清は、糾弾の声を上げる前田正名に同調する。
第42話 憲法発布の日
戦前まで2月11日は紀元節と呼ばれた。現代の建国記念の日なのには深い意味がある。この日は神武天皇即位の日とされ、神話上の日本の歴史の始まりの日なのだ。
明治22(1889)年のこの日、大日本帝国憲法並びに翌年からの帝国議会開設のための衆議院議員選挙法の発布の式典が、この日に向けて新築された宮中正殿の大広間で、午前10時半から挙行されることになっていた。
残り2581文字(全文2854文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める