小説 高橋是清 第43話=板谷敏彦
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欧米視察の旅を終え、是清は憲法発布の式典に参内するまでに出世していた。それも若き頃からの恩師・森有礼が育ててくれたからである。そんな森を殺害した男の方が民衆の中では人気が高かった。
第43話 ペルーの銀山開発
明治22(1889)年2月11日、憲法発布式典のその日に是清の恩人である森有礼(ありのり)は暗殺された。
是清の落ち込み様はひどいものだったが、それから2週間ほどたった2月26日になると、前田正名(まさな)が工務局長として農商務省に復帰してきた。悲しみの中にも是清の切なる願望の一つがかない、いくばくかの慰めとなった。
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週刊エコノミスト
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