小説 高橋是清 第44話=板谷敏彦
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憲法発布式典の朝に恩師・森有礼が暗殺された。翌月には養祖母喜代子が死去、立て続けに大事な存在を失い沈む是清に、前田正名が南米ペルーでの新たな投資話を持ち込んできた。
第44話 いざアンデスへ
明治22(1889)年10月4日、ペルーの銀山開発に向けて、日本側の鉱山投資会社である日秘鉱業会社が設立された。ここから現地の鉱山会社に出資する。
甲州財閥で高名な小野金六、藤村紫朗以下10名の発起人たちが25万円の出資に名乗りをあげ、これに前田正名(まさな)、高橋是清以下14名の株主が加わり25万円を出資、計50万円を準備した。最初にすべてを出すのではなく事業の進展に沿って資本金を払い込んでいく。
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週刊エコノミスト
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