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キャッシュレス IT系攻勢で銀行「土管化」も モバイル決済参入は吉と出るか=矢作大祐

    モバイル決済の拡大で、銀行の役割も変わる (Bloomberg)
    モバイル決済の拡大で、銀行の役割も変わる (Bloomberg)

     消費増税や東京五輪・パラリンピックを控えて加速するキャッシュレス化は、日本の銀行に大きな試練を与えている。IT系企業が、スマートフォンで二次元コード(QRコード)などを読み取って決済するモバイル決済サービスで攻勢をかけているからだ。銀行は顧客接点を奪われて空洞化しかねず、危機感を強めている。

     キャッシュレスの手段はこれまで、クレジットカードが主流だった。しかし、小規模店舗にとっては加盟店手数料の負担が大きく、導入は限定的だった。他方で、モバイル決済サービスを提供するIT系企業は、Eコマース(電子商取引)などの他事業で収益を上げることで、加盟店手数料を低く抑えられ、小規模店舗でも導入が進む可能性がある。また、蓄積した決済関連のデータを基に、マーケティングに活用したり、融資などの金融サービスを展開する企業もある。結果的に、加盟店手数料をクレジットカードの2~5%よりも低い0~1%程度に抑えたモバイル決済サービスも登場している(図1)。

     決済サービスを提供する場合、銀行以外の主体であれば、資金決済法に基づく資金移動業や前払い式支払い手段発行者の要件を満たすことが求められる。ただし、資金移動業は1回当たりの送金・決済の上限は100万円まで。前払い式支払い手段発行者は送金・換金が原則制限されているなど、銀行と比べて業務の自由度は狭かった。

     こうした自由度を狭める規制について、金融庁は見直す方向だ。金融審議会の下に作られた金融制度スタディ・グループは2018年6月、銀行は銀行法、送金業者は資金決済法という業態ごとの金融規制を見直し、「同一の機能・リスクには同一のルールを適用すべき」との中間整理案をまとめた。

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