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米中貿易戦争は米国に打撃=藻谷俊介

図1 米中関税競争の通信簿(輸出額の推移)
図1 米中関税競争の通信簿(輸出額の推移)

 米政府による関税引き上げ声明を受けて、米中協議に対する楽観的な見通しが後退している。2大国のメンツをかけたタフな交渉が続いており、情勢は予断を許さない。とはいえ、米国の当初の思惑に反して、中国が簡単に折れてこない理由を考えれば、いずれ妥結せざるをえないと思えるのだ。

「貿易戦争で苦しいのは中国に決まっている」と考えている人が大半なのではないだろうか。報道には「貿易戦争で失速した中国経済」という常とう句があふれているのだから。しかし、昨年10月9日号の本欄でも述べたように、このゲームでは中国はあまり痛手を受けていない。既に3回の段階的関税引き上げの応酬があり、相手からの輸入額のほぼ半分に相当する品目の関税を、相互に引き上げているのにもかかわらずである。

 改めてそれを示すのが図1だ。これは、米中双方の相手方への輸出額がどれだけの割合で減ったかをそのまま季節調整して比べたものである。もちろん関税競争に勝者はいない。しかし、負け具合を比べるならトランプ米大統領の大敗であることは明らかだ。中国はピーク対比で1割弱失っているが、米国は3割以上を失った。

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