市川明代/吉脇丈志
編集部から
新聞記者になって20年弱。社会部が長く、取材対象は、リーマン・ショックで切られた派遣社員、東日本大震災で被災した農・水産業者、過労死の遺族……と、どちらかといえば「経済界」とは対極的な立場にいる人々が多かった。
だから、というわけではないが、経済音痴を自認する。苦い記憶がある。東京都庁の担当になった2008年、石原慎太郎元知事肝煎りの「新銀行東京」の経営悪化に伴い、銀行の決算取材をする羽目に。数字の意味が分からず、知事を恨みながら何時間もかけて原稿を書いた。
時代は変わり、企業にも社会課題の解決が求められ、利益のみを追求してはいられなくなった。報道する側も「社会部」「経済部」というセクショナリズムを断つ必要がありそうだ。5月から編集部に加わった。避けて通ってきた「経済」に向き合い、新たな視点で編集・執筆をしたい。
(市川明代)
新卒で入った銀行時代の同期8人と今年3月、久しぶりに集まった。皆30代半ば。12年前の入行時、スタート地点は同じはずだったが、それぞれの道を歩んでいる。この日は大手広告代理店に転職した後、最近独立して起業したばかりの同期の報告会を兼ねていた。
この同期は企業や商品のブランド価値を高めるブランディングの仕事を始めるという。銀行からせっかく移った名のある広告代理店を辞めることに「もったいない」という周囲もいたようだが、「やりたいことをやるのがベスト」と意に介さない。銀行にいる同期にも、「課長代理」などの役職が付き始め、部下を持つようになってきた。
私もメディアの仕事に就きたいと、銀行を約6年で飛び出して、この5月から編集部に加わった。やりたいことに挑戦する人の背中を押すような、面白い雑誌を作りたい。
(吉脇丈志)
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