教養・歴史コレキヨ

小説 高橋是清 第47話=板谷敏彦

    挿絵・菊池倫之
    挿絵・菊池倫之

     国民の期待を集めるペルー・カラワクラ銀山開発の指揮をとる是清。開山式を終え事業が始まった矢先、採掘現場から「銀山はすでに掘り尽くされている」という衝撃的な報告が届いた。

     明治23(1890)年3月26日、急きょ下山してきた小池技手の報告によって、カラワクラ銀山はどうやら廃坑であることが判明した。残された品位が低い鉱石ではどう工夫して製錬しようが、当時の技術では採算はとれそうもなかった。

     是清はヘーレンを訪ねて一部始終を話すと、彼は非常に不機嫌になった。ヘーレンは既に山を買い、この計画に25万ドルを投入しているのだ。もしもカラワクラ銀山が廃坑だとして、是清は契約を打ち捨てて日本へと帰ることができるが、彼は失敗による経済的損失とその悪評をひきずったままペルーで暮らさなければならない。彼に対してここで事業をやめるとは言い出せなかった。

    残り2490文字(全文2860文字)

    週刊エコノミスト

    週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
    有料会員になると、続きをお読みいただけます。

    ・会員限定の有料記事が読み放題
    ・1989年からの誌面掲載記事検索
    ・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

    通常価格 月額2,040円(税込)

    週刊エコノミスト最新号のご案内

    週刊エコノミスト最新号

    6月16日号

    コロナデフレの恐怖14 サービス業に「デフレの波」 失業増で負のスパイラルも ■桑子 かつ代/市川 明代17 市場に問われる開示姿勢 ■井出 真吾18 図解デフレ大国ニッポン ■編集部19 デフレ圧力は過去にない水準に ■永浜 利広20 コロナで「上がった下がった」ランキング ■編集部21 インタビ [目次を見る]

    デジタル紙面ビューアーで読む

    おすすめ情報

    最新の注目記事

    ザ・マーケット