米政権が「貧困ライン」見直しへ 低所得層“狙い撃ち”に批判=岩田太郎
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トランプ米大統領が低所得層に対し、厳しい政策を次々と打ち出している。こうした中、米論壇では生活者の厳しい財政的状況などと絡め、抜本的な解決策が模索されている。
トランプ政権は5月7日、連邦政府が生活困窮者の食料購入補助や低所得者向け公的医療制度などを決定する際に使われる「貧困ライン」の算出で、インフレ率の補正基準を変更するよう提言した。現在の貧困ラインの算出では消費者物価指数(CPI)が使われ、世帯収入が貧困ラインを下回れば補助などを受けられる。トランプ政権はCPIに替え、連鎖式CPIを採用するアイデアを提言するが、連鎖式CPIは相対的に割安な財やサービスのウエートが高いためCPIより伸びが遅い。
これに関して米『ワシントン・ポスト』紙は5月11日付の社説で、「現在の貧困ラインは、4人家族の年収2万5750ドル(約283万円)未満だが、連鎖式CPIで計算すると、10年後はCPIによる貧困ラインより2・4%、20年後には4・8%低くなる。これにより、貧困の定義から漏れる人が増える」と指摘した。また、社説では「政権はこの提言を議会に諮ることなく、意見公募のみで困窮者への支出をカットしようとして…
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週刊エコノミスト
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