「デフレ脱却」4指標が総崩れ=藤代宏一
2018年以降、実質国内総生産(GDP)成長率は減速傾向にあり、足元のトレンドはゼロ%台前半にある。19年1~3月期(5月20日発表、1次速報値)は、輸入減少という特殊要因に押し上げられてプラス成長となったが、個人消費、輸出、設備投資はいずれもマイナスで、実質的にはゼロ成長という評価が妥当だ。
こうしたなか、5月には内閣府の景気動向指数の基調判断が6年2カ月ぶりに「悪化」へと引き下げられた。政府が発表した月例経済報告も総括判断こそ「緩やかに回復」との表現が維持されたものの、各論では明確に下方修正された。1年ほど前は、政府がアベノミクスの成果をアピールするためデフレ脱却宣言をするとの見方も出ていたが、目下のところそうした気配は感じられない。それどころか、再びデフレの脅威にさらされている状況だ。
政府が重視するデフレ脱却4指標((1)GDPデフレーター、(2)消費者物価、(3)GDPギャップ、(4)単位労働コスト)はいずれも芳しくない。GDPデフレーター(名目GDP÷実質GDP)は、4四半期移動平均ではマイナスに沈んでおり、基調的な弱さがうかがえる。消費者物価(生鮮食品とエネルギーを除く総合)は前年比プラス0.5%近傍と、強めの逆風が吹けばマイナス圏に押し戻されるレベルだ。
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週刊エコノミスト
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