映画 ニューヨーク 最高の訳(ワケ)あり物件=野島孝一
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「ハンナ・アーレント」の名匠が描く 軽妙タッチのNY(ニューヨーク)コメディー
ナチス戦犯裁判にかかわった女性哲学者ハンナ・アーレントの人生を映画化し、日本でもヒットさせたマルガレーテ・フォン・トロッタ監督が、打って変わってニューヨークを舞台にした女性同士のせめぎ合いを軽いタッチのコメディーにした。
ニューヨークの超高級アパートで暮らすモデルのジェイド(イングリッド・ボルゾ・ベルダル)は、ファッションデザイナーとして初のコレクションの準備に追われている。ところが、スポンサーでもある夫のニック(ハルク・ビルギナー)が突然離婚を通告。途方に暮れるジェイドの前に、前妻のマリア(カッチャ・リーマン)が現れ、家の権利の半分は自分のものだと主張して居座ってしまう。マリアにはニックとの間に2人の子があったが、若いジェイドに夫を奪われ、ドイツで暮らしていた。
ところが今回はニックが若いモデルに夢中になり、ジェイドを捨てる番になった。因果は巡る。1軒のロフトで共同生活をするようになったジェイドとマリアは、まるで正反対の性格。好みがまるっきり違うので、例えば自然主義者のマリアは、冷蔵庫から冷凍食品などを全部捨てて、野菜と果物に入れ替える。飾ってある大きな抽象画をマリアが動かそうとすると、怒り心頭に発したジェイドが元に戻す。絵はあっちに行ったり、こっちに来…
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週刊エコノミスト
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