新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

教養・歴史 書評

『ブレグジット・パラドクス 欧州統合のゆくえ』 評者・上川孝夫

著者 庄司克宏(慶応義塾大学教授) 岩波書店 2100円

主権回復目指し迷走 英国のEU離脱交渉詳述

 米中貿易摩擦とともに、英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる迷走が世界経済の先行きに影を落としている。2016年6月の国民投票で英国はEU離脱を選択した。その後、メイ首相はEUに正式に離脱を通告。離脱交渉(ブレグジット交渉)が開始され、18年11月に英EU合意がなった。しかし英下院がこの承認を否決、議会の迷走が続く中、メイ首相が辞任する事態に発展した。本書は、この離脱交渉を時系列に沿って詳しく論じたものだ。

 英国が離脱交渉の目標としたのは「主権の回復」である。EUの単一市場と関税同盟から離脱し、特に移民問題で揺れた、人の自由移動を撤廃する。その一方で物品・サービス貿易は可能な限り確保する。またEU司法裁判所の管轄権を排除することも課題だった。しかし、交渉では英国が徐々に劣勢となり、修正を迫られていく様子が描かれている。

残り748文字(全文1160文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月3日号

経済学の現在地16 米国分断解消のカギとなる共感 主流派経済学の課題に重なる■安藤大介18 インタビュー 野中 郁次郎 一橋大学名誉教授 「全身全霊で相手に共感し可能となる暗黙知の共有」20 共同体メカニズム 危機の時代にこそ増す必要性 信頼・利他・互恵・徳で活性化 ■大垣 昌夫23 Q&A [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事