国際・政治論壇・論調

次期EU委員長、僅差で承認 背景に“密室政治”への不満=熊谷徹

フォンデアライエン氏は改革姿勢を打ち出すが……(Bloomberg)
フォンデアライエン氏は改革姿勢を打ち出すが……(Bloomberg)

 7月16日、欧州議会はドイツのフォンデアライエン元国防相を次期EU(欧州連合)委員長として承認したが、同氏がわずか9票の差で承認されたことは、EU委員長の選出方法について強い不満が残っていることを浮き彫りにした。

 ドイツの保守系日刊紙『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』は7月17日付電子版で「フォンデアライエン氏は11月に約3万人の職員を擁し、約5億人のEU市民の生活に大きな影響力を持つEU委員会のトップに立つ。委員長への女性就任は初で、ドイツ人の就任は52年ぶり。同氏は就任後『欧州グリーン・ディール』というキャンペーンを打ち出し、地球温暖化対策に重点を置く方針。EUは2030年までに温室効果ガスの正味排出量を1990年比で40%減らすことを目標にするが、フォンデアライエン氏は『55%の削減は無理でも、少なくとも50%を目指す』と述べ、環境問題を重視する姿勢を強調した」と報じた。

 さらにポーランドなど東欧諸国の政府が三権分立などEUの原則に反する動きを見せる中で、FAZは「フォンデアライエン氏はEUの法治主義を確保するためのメカニズムを作る方針を明らかにするとともに、欧州の未来に関する委員会を設置することを提案する」と伝えている。

残り858文字(全文1386文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事