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編集長インタビュー 松岡真宏 フロンティア・マネジメント代表取締役

    Photo 武市公孝
    Photo 武市公孝

    コンサルにM&A、責任貫徹が強み

     Interviewer (藤枝克治・本誌編集長)

    ── フロンティア・マネジメントとはどういう会社ですか。

    松岡 大きく分類すれば経営コンサルティングの会社ですが、顧客企業の社長室や経営企画室の役割を担うことが特徴で、コンサルティングもしますし、企業買収のお手伝いもします。

     私と共同代表の大西正一郎が2人で2007年に設立した当時は売上高の7割が企業再生支援によるものでしたが、現在はM&A(合併・買収)の助言が全売上高の半分、4割をコンサルティングが占め、企業再生は1割になっています。

    ── 同業他社に比べて幅広い業務を手掛けているのですか。

    松岡 M&Aの契約書をまとめるには、投資銀行や法律事務所、会計事務所などさまざまな実務をつなぎ合わせて進めざるを得ません。大企業はそうした業務をこなす社員を抱えていますが、中堅企業にはあまりいません。当社は法律、財務、税務、ビジネス、金融とM&Aの助言など必要なサービスをまとめて提供することができます。

    ── 昨年度(18年12月期)は売上高が前年比20%増でした。M&Aの活発化や、コンサル需要の高まりを反映した結果ですか。

    松岡 事業承継のニーズの増加や、顧客企業において海外企業との取引が増えていることが背景にあります。投資ファンドの投資先企業による買収や、投資ファンドが過去に買収した案件のエグジット(売却)がこの1、2年で活発化していることも増収の要因になっています。

    ── M&A関連では日立グループの案件が多いことや、ガス自由化に伴う東京電力グループと日本瓦斯の提携が目を引きます。

    松岡 日立グループが非中核と考えている中規模、中小規模の案件で当社は実績を積んでいます。東電と日本瓦斯では共同出資会社を設立する案件を手伝いましたが、業界事情を知悉(ちしつ)した当社のコンサルチームの存在が、案件獲得のコンペ(入札)でアピール点になりました。

    ── 競合他社との差別化をどう打ち出しているのですか。

    松岡 コンサルティング会社の多くは、企業の現場に入ることを強調しますが、我々からすると「本当ですか」と思います。当社は役員として顧客企業の経営に入ることが多く、年間で10社以上に役員を派遣しており、中には経営が厳しい会社もあります。

     外資系や監査系コンサル会社のコンサルタントが、業績が厳しい上場企業に役員として経営陣に入るかというと、多くの場合、リスクが取れないから行かないと思います。最後まで責任をとってコンサルティングをするのが当社の強みです。

     花形アナリストだった松岡氏が転機を迎えたのが2003年。不良債権処理と経営不振企業の再建を目的に政府が設立した産業再生機構に入り、ダイエーとカネボウの社外取締役に就任。経営危機の現場を経験した。

    ── 産業再生機構でダイエーやカネボウの再建に携わったことをどう総括しますか。

    松岡 企業再生は、「大事故に遭遇した人、大病を患った人が普通の社会人に戻るプロセス」だと考えています。「内臓破裂」して「複雑骨折」した企業が人を雇用するようになり、税金を納められるようになったことが企業再生の標準的な成功でしょう。(イオン傘下に入った)ダイエーは元気でないとか、カネボウは(花王に化粧品事業を買収されるなど)バラバラにされたと言われますが、倒産よりは良かったと思います。

    選択と集中は適さない

    ── バブル崩壊後に多くの日本企業が掲げた「選択と集中」に批判的です。

    松岡 世界で最も成功している日本の小売業はセブン─イレブンです。イトーヨーカ堂の多角化事業として1970年代にスタートし、親子上場もしました。私が専門としている流通業界では、旧セゾングループからファミリーマートや良品計画が、ダイエーからローソンなど多くの優良企業が多角化戦略から生まれました。

    ── 経営者がリストラのためにその言葉を使ったと。

    松岡 当社設立当初に手掛けた案件で、松本電気鉄道(現アルピコホールディングス、長野県松本市)があります。先に別のコンサル会社が入っていて、食品スーパー事業を売却するよう助言されていましたが、同社は疑問を持っていて、当社に第二の意見を求めてきました。

     調査のため現地に入り、「地方では選択と集中は違う」と気づきました。スーパーは現在好調で、売却しなくて本当に良かったと思います。同社の再生を手掛けているうちに、選択と集中は地方で適さないのではなく、日本全体でも違うと考えています。

    (構成=浜田健太郎・編集部)

    横顔

    Q 30代の頃はどんなビジネスマンでしたか

    A アナリスト時代は猪突(ちょとつ)猛進で担当企業とよくぶつかりました。内容証明郵便を送られたり、出入り禁止になった企業も3社くらいあります。

    Q 「好きな本」は

    A 曽野綾子の『太郎物語』は高校時代に何度も読みました。遠藤周作も好きで『深い河』などをよく読みました。

    Q 休日の過ごし方

    A 6、7年前に始めたヨガや、ジムによく行きます。そのときは仕事のことを忘れられるので。


     ■人物略歴

    まつおか・まさひろ

     1967年生まれ。愛知県立一宮西高校卒業、東京大学経済学部卒業。90年野村総合研究所入社。複数の外資系証券会社を経て2003年に産業再生機構に入社。同機構の経営支援を受けたカネボウとダイエーの社外取締役として派遣され、両社の再建に携わった後、07年1月にフロンティア・マネジメントを設立し代表に就任。愛知県出身。52歳。


    事業内容:経営コンサルティング事業、M&A(企業の合併・買収)の助言事業、企業再生支援事業など

    本社所在地:東京都港区

    設立:2007年1月

    資本金:1億5800万円

    従業員数:185人(2019年10月1日、連結)

    業績:(2018年12月期)

     売上高:46億9000万円

     営業利益:6億7200万円

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