週刊エコノミスト Online2019年の経営者

編集長インタビュー 堀江康生 イエローハット社長

    Photo:中村琢磨
    Photo:中村琢磨

    ドラレコ好調 3期連続最高益へ

     Interviewer 藤枝克治(本誌編集長)

    ── 今期(2020年3月期)は3期連続過去最高益更新の76億円を見込みます。国内新車販売が伸び悩む中、なぜ利益が伸びるのでしょうか。

    堀江 多くの人にとって、カー用品の購入やオイル交換、車検整備などの維持管理は、自動車を買ったディーラーでするものでした。当社は、カー用品売り場に加えて、整備ピット(施設)も備えており、同じ質ならばより安い価格で製品や維持管理サービスを提供できます。この強みをアピールすれば、ディーラーからの転換も進むでしょう。新車販売台数が伸び悩んでいるとはいえ、日本には今、6000万台の乗用車が走っています。その数%分の需要をディーラーから獲得できれば、当社には大きな利益になります。

    ── 最近の売れ筋商品は。

    堀江 ドライブレコーダーの9月の売り上げが、前年同月比3倍に達しました。今夏、あおり運転の事件が大きく報じられたことと、消費増税前の駆け込み需要が影響したとみられます。タイヤも駆け込み需要で、9月は同2倍売れました。10月以降に反動減もあるでしょうが、9月にこれだけ売れれば、中長期では売り上げはプラスになるのではないでしょうか。

    ── ドラレコの価格帯はどのぐらいですか。

    堀江 前後を確認できるタイプを、当店で取り付けると、全部で3万〜5万円前後です。ドラレコはネット通販やホームセンターでも割安で購入できます。しかし、取り付けが必要だし、配線技術も問われます。当社は店のピットで取り付けて、しかも配線も目立たなくできます。だからカー用品店で買う人が多いのだと思います。

    看板使用料なし

    ── 店舗の運営はどのように。

    堀江 主力のカー用品店「イエローハット」は全国に733店、自動二輪用品専門の「2りんかん」が55店、自動二輪を売る「バイク館SOX」が51店あります。イエローハットの運営方法の内訳は、「北海道イエローハット」といった100%子会社が運営する店舗が360店、フランチャイズ(FC)に似た形態のボランタリーチェーンが373店です。

    ── 直営店とFCの組み合わせという一般的なやり方ではないと。

    堀江 直営店方式は数年前にやめました。現在は地域ごとに設立した100%子会社が、おおむね10店舗程度を運営しています。直営店だと全国一律の給与や休日日数にしなければなりませんが、子会社運営方式にすれば地域の実情に合った給与水準や休日の設定ができます。また、子会社のトップが、店で効率的な仕事をしているか、ムダな経費を使っていないか細かくチェックできます。直営店方式だと、本社社員が全国の店舗をチェックしなければなりませんが、とても見きれません。店舗指導などの出張経費もかさみます。

    ── では、ボランタリーチェーンとは何ですか。

    堀江 FCは、加盟店が本社に対して、看板使用料とでも言うべきロイヤルティー、事業開始時に支払う加盟金、事業リスクに備える保証金などを支払う方式です。ボランタリーチェーンとは、加盟店がこれらのお金を支払わずに「イエローハット」の看板を使い、商売してもらう仕組みです。ただし、扱う商品は当社が100%近く卸しています。事業の中身はほとんどFCです。

    ── 今後の出店計画は。

    堀江 年間純増20〜30店舗を計画しています。当社は、大通りから少し入った通り沿いの立地が多く、店舗も決して大規模ではありません。大通り沿いに大きな店舗を構えると売上高は大きくなるのでしょうが、高い賃料を払わねばなりません。見栄えと、利益は別問題です。

    新製品開拓の連続

    ── 今後のカー用品の需要動向は。

    堀江 この20年間、カー用品は、売上高、個数とも下がり続けてきたし、今後も落ち込んでいくでしょう。たとえば、かつてはハンドルを木製やカラフルなものに替える人がいましたが、今はエアバッグが装備されているので替えようがない。昔売れていたものが、技術の変化などで売り上げゼロになる業界です。

    ── ではどのような対策を。

    堀江 一つは、新たな売れ筋商品を見つけることです。ドラレコも新たな売れ筋商品です。もう一つは、サービスの技術範囲を広げることです。当社は7年ほど前から、軽板金も手がけています。かつては車体に傷やへこみができたら、専門の板金工に持ち込んだかもしれないのですが、今はカー用品店である当社で対応できます。そうやって、毎年2%程度落ち込むカー用品の売り上げを、新たな商品・サービスで埋めていくことの繰り返しです。

    (構成=種市房子・編集部)

    横顔

    Q 30代の頃はどんな仕事をしていましたか

    A 本社で営業管理をしながら、株式の店頭公開、東証2部上場、1部上場と各段階での準備にも当たり多忙でした。

    Q 「好きな本」は

    A 『そして、奇跡は起こった!─シャクルトン隊、全員生還』(ジェニファー・アームストロング)です。この著作に限らず、本は私の人生を変えてくれました。本社に私の推薦図書を並べた本棚(写真後方)があり、社員に貸し出しています。


     ■人物略歴

    ほりえ・やすお

     1952年生まれ。京都市立塔南高校、京都工芸繊維大学卒業。76年イエローハット入社。97年取締役、2001年常務取締役。08年10月から現職。京都府出身、67歳。


    事業内容:自動車・自動二輪用品販売・卸売り

    本社所在地:東京都千代田区

    創業:1961年

    資本金:150億円

    従業員数:3499人(2019年3月末、連結)

    業績(19年3月期)

     売上高:1392億円

     営業利益:95億円

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