インド 砂漠化防ぐ「インドの緑の壁」=中島敬二
インドは、世界で最も砂漠化が進行している国の一つだ。今、森林や草原面積の大規模消失で約30%の約9640万ヘクタールが砂漠化か土地の極度な劣化に陥っている。特に西部のグジャラートやラジャスタン、首都デリーで深刻だ。
9月にニューデリーで開催された国連砂漠化対処条約の第14回締約国会議(COP14)で、モディ首相は、2030年までに2600万ヘクタールの荒廃地を修復すると約束した。さらに10月、政府は、中央部のハリヤナ州のパニパットからグジャラート州のポールバンダルまでの東西に延びる1400キロメートル、幅5キロメートルの地域の森林再生運動「インドの緑の壁」構想を発表した。
2018年までの18年間で160万ヘクタールの森林が、また過去10年間で草原面積の31%(565万ヘクタール)が消えた。昨年5月、砂漠化が進む北部で大規模な砂嵐が発生、2日間で125人以上が死亡した。また農産物の生産減少などが問題となっているのに加え、地球温暖化の最大の要因であるCO2を吸収する森林が消失している。
この「緑の壁」はタール砂漠からの塵埃(じんあい)の侵入を防ぐ役割も果たし、複数の州に利益をもたらす。人々は、その一日も早い実現に期待を寄せている。
(中島敬二・元インド政府アドバオザー)