教養・歴史アートな時間

映画 影裏 鮮やかな岩手の自然と男2人の複雑な奥底描く=野島孝一

(c)2020「影裏」製作委員会
(c)2020「影裏」製作委員会

「るろうに剣心」などの大友啓史監督の最新作。原作は2017年に芥川賞を受賞した沼田真佑の同題小説。原作者が暮らす岩手県が舞台になっており、そこは大友監督にとっても郷里となる。

 今野秋一(綾野剛)は転勤になった盛岡で、同い年の同僚・日浅典博(松田龍平)に出会う。日浅は東京の大学を卒業後、郷里の盛岡に帰り、父親と二人暮らしをしているという。孤独な今野は日浅と渓流釣りに行ったり、飲んだりするうちに、たちまち心を許してしまう。だが、翌年の冬、日浅は今野に何も告げずに会社を辞めてしまった。

 不器用な生き方しかできない気弱な青年・今野と、なかなか本心を見せない日浅。ぷっつりと連絡を絶っていた日浅が、いきなり互助会の保険セールスマンとして今野の自宅を訪ねてきたとき、2人の新たな友情が発生する。だが夜釣りで微妙な気持ちのすれ違いがあってから、また疎遠になる。

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