国際・政治論壇・論調

FRB利下げ効果を疑問視 関税撤廃や現金給付を求める声=岩田太郎

混乱を封じ込むことはできず(FRBのパウエル議長)(Bloomberg)
混乱を封じ込むことはできず(FRBのパウエル議長)(Bloomberg)

 世界的な新型肺炎の流行による経済ショックを受けて、従来は景気後退時の頼みの綱とされた米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げの効果を疑問視する論調が高まっている。こうした中、FRBが利下げ余地を使い果たした先の政策や、金融・財政・国境の枠を超えた抜本的な処方箋が米論壇で議論されている。

 ニューヨーク市立大学のポール・クルーグマン教授は3月9日に、「米長期金利の急激な低下は、市場が『米国が恒常的な景気後退に向かっている』と言っていることと同じ」と短文投稿のツイッターで言明した。アラン・グリーンスパン元FRB議長も3月6日のブルームバーグの電話インタビューで、「米30年債の利回り低下に限度はなく、ゼロも超えマイナス利回りもありうる」と述べた。

 こうした中、経済失速を防ぐ目的でFRBが打ち出すフェデラルファンド(FF)金利引き下げについて、英金融大手バークレイズの米国シニアエコノミストであるマイケル・ゲイペン氏は3月8日の米経済専門局CNBCの番組に出演し、「景気後退の可能性は低いものの、FRBが金利をゼロにまで引き下げるのは確実だ」と論じた。

残り799文字(全文1277文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事