商社特別版 三井物産の安永社長 異例の経団連副会長内定
経団連副会長に三井物産の安永竜夫社長=写真=が内定した。経団連副会長の定数18のうち商社業界は2枠を持ち、現在、小林健・三菱商事会長と中村邦晴・住友商事会長が経団連副会長を務める。小林氏の任期が5月に満了することから、後任に注目が集まっていた。
経団連副会長は、審議員会副議長(会長の助言機関)を経て就くのが慣例だ。最近2年間では伊藤忠商事の岡藤正広会長や丸紅の国分文也会長が副議長を務めており、「次はどちらか一方が副会長では」との下馬評だった。副議長経験のない安永氏の副会長内定は異例だ。三井物産内に経団連への強い思い入れがあり、飯島彰己会長が経団連の活動に積極的に出席していたことが決め手となったとみられる。経団連事務局にも「副会長の商社枠には三菱、三井のいずれかが必要」との認識があったようだ。
なお、小林氏は副会長を務め上げた後に、格下の副議長に登板となり、こちらも異例の人事と受け止められている。
経団連副会長に内定した安永氏は、4月で三井物産社長就任5年になる。飯島会長は社長を6年で退いたことから、安永社長にとっては最後の1年となる可能性がある。
後任として有力なのは、1984年入社の堀健一専務執行役員だ。IR(投資広報)部長や経営企画部長を歴任。現在は、成長分野の「ニュートリション・アグリカルチャー」の担当を務める。「穏健だが、指摘は鋭い」との人物評だ。対抗は、堀氏の同期で、エネルギー畑の藤原弘達専務執行役員だ。両氏とも安永氏とは入社年次で一つ下だ。役員32人抜きで安永氏を社長に選んだ飯島会長は、若い人物に社長を任せる狙いがあった。この趣旨を安永氏が貫徹するとすれば、執行役員クラスからの抜てきも考えられる。