舞台 新橋演舞場 四月大歌舞伎 籠釣瓶花街酔醒=小玉祥子
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自らの人生決められない悲しみ 吉原の花魁(おいらん)めぐる愛憎劇で描く
中村吉右衛門と尾上菊之助が、新橋演舞場の「四月大歌舞伎」夜の部の「籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)」で、鮮烈な男女の愛憎劇を見せている。
三世河竹新七作で、1888年に初演された。明治に入っての作品ながら、「花魁(おいらん)道中」など、江戸の吉原の華やかさにプラスしてしきたりも味わえる興味深い芝居だ。
佐野の商人、次郎左衛門は、供の治六と初めて出かけた吉原で全盛の遊女、八ツ橋の花魁道中を目にし、美しさにぼうぜんとなる。廓(くるわ)に通い詰めた次郎左衛門は、八ツ橋を身請けしようとするが、手ひどく拒絶されてしまう。八ツ橋には権八というたちの悪い親代わりの男と栄之丞(えいのじょう)という愛人がいた。権八が栄之丞をたきつけ、八ツ橋に身請け話を断るように命じさせていたのだ。面目をつぶされた次郎左衛門はす…
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週刊エコノミスト
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