映画 劇場 又吉文学の鬱屈したリアル描く ラストで演劇的仕掛けが作動=野島孝一
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芥川賞を受賞し、純文学としては異例のベストセラーになった又吉直樹の『火花』。『劇場』はその又吉直樹が『火花』よりも前に書き始めていたという小説だった。それを「GO」(2001年)「世界の中心で、愛をさけぶ」(04年)などのヒット作を手掛けてきた行定勲監督が、独立系映画の手作り感を残しながら映画にした。脚本は演劇を中心に活躍し、「まほろば」(09年)で岸田國士戯曲賞を受賞した蓬莱(ほうらい)竜太。自らの劇づくりの体験を基に、演劇が大きな要素を占めるこの映画にふさわしい手法を使っている。
中学から演劇活動に夢中になり、友人の野原(寛一郎)と劇団「おろか」を立ち上げた永田(山﨑賢人)。自作の脚本・演出による劇の上演を手掛けたが、酷評されて、劇団は解散状態に陥った。そんなある日、永田は女優を夢みて上京し服飾の学校に通う沙希(松岡茉優(まゆ))に出会う。演劇への夢を追い続け、生活破綻者となった永田は、沙希のアパートに転がり込み、7年がたった……。
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