映画 はちどり 中学2年の少女の困難を通して日韓両国に共有の記憶を観る=寺脇研
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舞台は1994年のソウルだ。中学2年生の少女の送る日々が描かれていく。88年のソウル五輪から6年、朝鮮戦争の荒廃から復興した社会は繁栄期を迎えようとしていた。都心の風景は、既に現在のそれに近い。父親がトックという韓国餅を作って売る小さな店を経営する少女の一家も、巨大な高層団地に住まうようになり、優等生の兄はソウル大学合格を期待され、彼女自身も大学進学を前提に塾通いさせられている。
観ていて、東京五輪から6年後の日本、70年頃を想起した。「昭和元禄(げんろく)」と名づけられたにぎやかな時代だ。大阪万博が大盛況、霞が関ビルや新宿西口の高層ビル群が建設されていた。
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