映画 ルディ・レイ・ムーア 半端芸人の仕掛けた大勝負 E・マーフィが見つけた鉱脈=芝山幹郎
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エディ・マーフィには、好悪こもごもの感情を抱いてきた。いうまでもなく、彼は人気コメディアンだ。1980年代の前半、「48時間」(82年)や「ビバリーヒルズ・コップ」(84年)で華々しく登場したときの彼は、飛ぶ鳥を落とす勢いだった。にぎやかな早口。ケレンとハッタリに満ちた、出たとこ勝負の芝居。アクションと毒舌コメディを融合させた彼は、時代の先端を行くスターだった。出演映画の通算興行収入も、なんと40億ドルを超える。
一方で、彼には悪ノリも目立った。笑いが空転して滑ったときは、客が白けて、温度が大きく下がる。21世紀に入ってからはその傾向がとくに顕著で、もはや時代と波長が合わなくなったのか、と思わせることさえあった。だが……マーフィは終わっていなかった。
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週刊エコノミスト
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