都市封鎖で急増する失業者 崩壊が懸念される米不動産市場=岩田太郎
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新型肺炎の大流行を受け米国では都市封鎖で収入が途絶えた数千万人の失業者や企業が家賃や住宅ローン、賃料の支払いができなくなった。政府による融資や強制執行の一時猶予は一時しのぎにしかならず、借り手も貸手も破綻し、それが金融危機を連鎖誘発する懸念が議論されている。
保守系の米雑誌『ナショナル・インタレスト』のハリー・カジアニス編集主幹は4月9日付電子版で、「連邦政府が貸手に命令した最大6カ月の住宅ローンの返済猶予は、政府系住宅金融公社が保証する融資にしか適用されず、政府保証のつかない民間融資は貸手が猶予を与えない可能性もある。また、猶予期間の終了後は繰り延べた分の一括返済を迫られる。そのような状況下で、2008年のリーマン・ショック後の物件差し押さえ危機をはるかに上回る規模で住宅市場が崩壊するお膳立てが整いつつある」と指摘した。
一方、賃貸住宅においては多くの自治体が家賃滞納を理由とした強制立ち退きの猶予を家主に命令する中、多くのアパート・貸家入居者が家賃の支払いを停止。また、ショッピングモールやテナントビルの入居企業が賃料支払いを続々と停止しており、商用不動産大手の資金繰りが行き詰まる可能性がある。
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週刊エコノミスト
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