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「京都は観光都市ではない」門川大作市長が独自のコロナ対策を提唱
「症状の有無に関わらず、直ちにPCR検査を行う」
京都市が5月7日、発表した新型コロナウイルス感染症の〝新戦略〞だ。
病院や福祉施設では「(感染者と)接触の可能性のある方」、家庭では「同居家族全員、接触の可能性のある親族全員」が対象。
職場でもそれに準じた対応をする。京都府や民間の機関を含め、1日200件の検査ができるという。
国の基準とどう違うのか。
厚生労働省は「相談・受診の目安」を「37・5度以上の発熱が4日以上続く方」などとしていたが、8日に体温の規定を削除し、「息苦しさ(呼吸困難)、強いだるさ(倦けん怠たい感)、高熱等の強い症状のいずれかがある場合」などと改めた。
事実上、検査基準として運用されている。
京都市はこれまで国の基準を参考にして、基本的に集団感染が発生した施設の関係者で発熱やせきなどの症状がある人か、感染者との濃厚接触者に限っていた。
同市が「症状の有無に関わらず」と明記して検査対象を一挙に広げたのはなぜか。
門川大作市長は7日、記者団に次のように述べた。
「経路が不明の感染者は減少したが、病院や家庭内の感染拡大は依然厳しい。病院などの感染を抑え込めないと収束に向かわない」
念頭にあるのは、中核病院の堀川病院(上京区)で起きた院内感染だ。
256人を検査したところ、入院患者20人、医療スタッフ10人が陽性と判明。陽性率が1割超もあった。
市保健福祉局は検査拡大について、「医療従事者が勤務できるかどうかを早く判断でき、医療崩壊を防げるのでは」と期待する。
同市では3月上旬からほぼ連日、感染者が確認されていたが、5月10日と11日は「感染者ゼロ」。
しかし、12〜14日に計6人の感染が確認された。
門川市長は昨年、訪日客の急増が悪影響を及ぼしているとして、「京都は観光都市ではない」と怒った。
今は訪日客が消え、閑古鳥が鳴く。新戦略は功を奏するか。
(粟野仁雄)