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JR東海・金子社長がコロナ下強行開催のリニア有識者会議で「大ひんしゅく」

JR東海の金子慎社長(手前左)に要望書を手渡した古田肇知事(同右)ら=名古屋市中村区で2018年11月19日午後5時7分、岡正勝撮影
JR東海の金子慎社長(手前左)に要望書を手渡した古田肇知事(同右)ら=名古屋市中村区で2018年11月19日午後5時7分、岡正勝撮影

政府が緊急事態宣言を発令して外出自粛などを求めた4月下旬。集団感染も疑われていた国土交通省が〝強行〞した会議が波紋を呼んでいる。

会議はリニア中央新幹線を巡る有識者会議。

主なテーマは南アルプスを貫く巨大トンネルを建設する影響で、静岡県の大井川の流量が減る問題だ。

同県や流域自治体はこれまで「JR東海からの対策は県民が安心できるレベルに達していない」として着工を認めていないが、品川―名古屋間の開業が2027年に迫る中、同省が「調整役」に乗り出した。

だが、4月27日の初会合はちぐはぐさが目についた。

会議は感染拡大防止のため「オンライン形式」で、取材もオンラインに限られた。

ところが、委員7人のうち4人が国交省に集まっていた。建物内にある自動車局で、感染者が相次いでいたにもかかわらずだ。

会議の冒頭で、同省の水嶋智鉄道局長は「国民の大きな関心事項。いたずらに時間をかけるわけにはいかない」と開催の大切さを訴えた。

だが、JR東海の金子慎社長が「あまりに高い要求を課し、着工も認めないのは法律の趣旨に反するのではないか」などと発言してひんしゅくを買う。

責任に欠けると受け止めた県と自治体が猛抗議。国交省は後日、金子氏の発言は「会議の趣旨にそぐわず反省を促す」などと文書で注意する騒ぎになった。

「『3密』を避けて行っている。集中的にやりたい」(同省の事務局)と急いだ会議は裏目に出た。

静岡県の川勝平太知事は同30日の定例記者会見で、「こういう時期によくやるなと思った」とあきれ顔だ。

東海道新幹線の大型連休の乗客は前年より94%も減った。建設自体に反対ではなかった川勝氏も「リニアが立脚している哲学『便利、速い』だけを追求していいのか」。

オンライン会議やテレワークも急拡大するコロナ禍。リニアの意義も揺らいでいる。

(井澤宏明)

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