映画 マルモイ ことばあつめ 舞台は日本統治下の朝鮮 自分たちの言葉を守る闘い描く=寺脇研
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「ことばあつめ」と副題にあるように、朝鮮語で「マル(言葉)」を「モイ(集める)」話だ。日本統治下の朝鮮で、初めての朝鮮語辞典を作ろうと苦闘する人々を描いている。
ただ、これは元々、支配国へのレジスタンスとして構想された事業ではなかったようだ。中国文化重視で漢字優先の李氏朝鮮時代に粗略にされていた庶民の使うハングルを、多岐にわたる各地の方言を統一した形で辞書に編もうという壮大な企ては、高名な言語学者チュ・シギョンによって、既に19世紀末から構想されていたという。
しかし日本支配が進むにつれ、この事業は民族自立の闘いと結びついていく。チュの遺志を受け継ぐ朝鮮語学会の人々は、潜行して作業を進めた。一方で、日本の軍国主義化につれ同化政策は勢いを増す。1939年には「創氏改名」で日本式の名前を強要し、41年には学校での日本語使用を義務づけて全土での日本語化を目指した。
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