映画 悪の偶像 加害者側、被害者側の激突に行方不明の女が絡むサスペンス=寺脇研
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外国映画にはハードルの高いアメリカのアカデミー賞まで取った大ヒット作品『パラサイト』で、韓国の名優ソン・ガンホを知った人は多いだろう。今や、押しも押されもせぬ世界的スターだ。20年近く前から彼に注目していた者として、喜ばしい限りである。
しかし、韓国男優陣の層はまだまだ厚い。同じく1960年代生まれの世代は、この20年間の韓国映画の発展を支えてきた。ことに、『シュリ』(99年)で世界市場への道を開いたハン・ソッキュ、『オールド・ボーイ』(2003年)をカンヌ国際映画祭グランプリ作品に導いたチェ・ミンシク、『ペパーミント・キャンディー』(99年)、『オアシス』(02年)のソル・ギョングの功績も大きい。いずれも歴史に残る名作となった。
そのうちの2人、ハン・ソッキュとソル・ギョングが激突する。深夜、無人の道路で起きたひき逃げ事故の、かたや「加害者の父」、かたや「被害者の父」である。敏腕スパイなどエリート役が得意のハンが知事選有力候補の市会議員、社会の片隅で生きる男の役で存在感を発揮するソルが冴(さ)えない中年男と、それぞれ適役を得ての競演は見応え十分だ。
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週刊エコノミスト
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