米国黒人暴動の背景に放置された経済的差別=岩田太郎
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丸腰の黒人男性ジョージ・フロイド氏が白人警官に首を圧迫されて死亡した事件を受け、全米各地に抗議活動が広がった。米経済論壇では、事件に見られる人種差別の背景として、放置された経済格差の問題があると論じられている。
「ブルームバーグ」のコラムニストであるアダム・ミンター氏は6月6日付の評論で、「事件が起こったミネソタ州ミネアポリスは景気が良く、進歩的な都市として知られる。だが、2018年の黒人世帯の平均年間収入が3万8200ドル(約419万円)であったのに対し、白人世帯では8万2500ドル(約904万円)と、全米で最も人種経済格差がひどい場所だ」と説明した。
自身が黒人で、ミネソタ大学で経済学の教鞭を執るサミュエル・マイヤーズ教授は6月6日付の経済サイト「マーケットウオッチ」で、「同市では第二次世界大戦後に、好環境の郊外の物件を好条件の住宅ローンで購入できる貸付制度で白人の帰還兵を優遇したが、黒人は人種差別的な条例でそうした地区の物件を購入できなかったため、富の格差が生まれた」と指摘した。
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週刊エコノミスト
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