国際・政治論壇・論調

急激なドル安予測に注目 準備通貨の地位にも影響=岩田太郎

米ドルの信認が揺らぐ?(Bloomberg)
米ドルの信認が揺らぐ?(Bloomberg)

 新型コロナウイルスの流行を受けた米経済の長期低迷により、近未来に急激なドル安が進行し、さらには世界の準備通貨としての米ドルの信認や地位が揺らぐとの説が注目を集めている。

 米エール大学でシニアフェローを務めるスティーブン・ローチ氏は6月23日付の評論サイト「プロジェクト・シンジケート」に寄稿し、「ただでさえ貯蓄率の低い米国が、コロナ禍による経済停滞の打開のため、海外からの借り入れをさらに増やして消費や投資に充てることでドルの価値が低下し、現在のレベルから35%ほどドル安になる」と予測した。

 具体的な道筋としてローチ氏は、「コロナ危機直前の米国では、国内総生産(GDP)に占める家計・企業・政府の貯蓄の総和である国内純貯蓄率が1・4%に過ぎなかった。この先、経済刺激のための海外からの借り入れ増加により、経常収支の赤字が記録的に悪化する一方、財政赤字も2020年から21年にかけてGDPの14%にも達する。結果として、国内純貯蓄率はこの先2~3年の間にマイナス5~10%にまで低下する」との…

残り950文字(全文1397文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

5月14日・21日合併号

ストップ!人口半減16 「自立持続可能」は全国65自治体 個性伸ばす「開成町」「忍野村」■荒木涼子/村田晋一郎19 地方の活路 カギは「多極集住」と高品質観光業 「よそ者・若者・ばか者」を生かせ■冨山和彦20 「人口減」のウソを斬る 地方消失の真因は若年女性の流出■天野馨南子25 労働力不足 203 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事