国際・政治論壇・論調

EU、コロナ復興予算合意 南北間に残る亀裂=熊谷徹

ドイツが柔軟な態度を示し、南北間の対立は一時的に収まったが……(Bloomberg)
ドイツが柔軟な態度を示し、南北間の対立は一時的に収まったが……(Bloomberg)

 欧州連合(EU)加盟国首脳は7月21日未明、ブリュッセルでの約90時間に及ぶマラソン会議の結果、コロナ危機からの復興と経済成長のための予算案について合意した。

 ドイツの保守系日刊紙『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』は7月22日付紙面で「復興予算の額は約1兆8240億ユーロ(約219兆円)にのぼる。マクロン仏大統領は『今日は歴史的な日だ』と語り、メルケル独首相は『各国の立場が異なっていたために交渉は難航したが、最後は27人の首脳たち全員が力を合わせたので、合意できた』と語った。欧州には、安堵(あんど)感が漂っている」と報じた。

 同紙によると予算のうち1兆740億ユーロ(129兆円)はEUの今後7年間の予算枠から支出される。デジタル化や地球温暖化を防ぐための投資など、欧州の経済成長を促進するための資金が含まれる。残りの7500億ユーロ(90兆円)は、パンデミック(世界的大流行)によって特に甚大な損害を受けた南欧諸国などを支援し、将来の非常事態に対する抵抗性を強化するための「コロナ復興基金」だ。

残り908文字(全文1365文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事