教養・歴史アートな時間

映画 ヴィタリナ 寡黙で力強い移民女性の姿 陰影と抜群の構図で描く=野島孝一

 ポルトガルのペドロ・コスタ監督による作品で、2019年のロカルノ国際映画祭で金豹(きんひょう)賞と女優賞をダブル受賞した。

 リスボンの片隅にある移民が暮らす貧民街フォンタイーニャス地域。アフリカのカーボベルデから1人の女がやってきた。それがヴィタリナ(ヴィタリナ・ヴァレラ)だ。彼女の夫はカーボベルデからポルトガルに出稼ぎに来ていたが、病気で倒れた。ヴィタリナがポルトガルに着いた時にはすでに死んで葬式も終わっていた。ヴィタリナは夫が住んでいたボロボロの家で生活を始める。

 カーボベルデは北アフリカの沖合に位置する大西洋の諸島で、ポルトガルの植民地だったが、1975年に独立した。その後、大勢の島民たちが職を求めて旧宗主国のポルトガルに出稼ぎに来ていた。ヴィタリナの夫もそんな中の一人だった。

残り857文字(全文1204文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事