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映画 ヴィタリナ 寡黙で力強い移民女性の姿 陰影と抜群の構図で描く=野島孝一

 ポルトガルのペドロ・コスタ監督による作品で、2019年のロカルノ国際映画祭で金豹(きんひょう)賞と女優賞をダブル受賞した。

 リスボンの片隅にある移民が暮らす貧民街フォンタイーニャス地域。アフリカのカーボベルデから1人の女がやってきた。それがヴィタリナ(ヴィタリナ・ヴァレラ)だ。彼女の夫はカーボベルデからポルトガルに出稼ぎに来ていたが、病気で倒れた。ヴィタリナがポルトガルに着いた時にはすでに死んで葬式も終わっていた。ヴィタリナは夫が住んでいたボロボロの家で生活を始める。

 カーボベルデは北アフリカの沖合に位置する大西洋の諸島で、ポルトガルの植民地だったが、1975年に独立した。その後、大勢の島民たちが職を求めて旧宗主国のポルトガルに出稼ぎに来ていた。ヴィタリナの夫もそんな中の一人だった。

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