教養・歴史書評

動物学者が勧める「肉食」のアタマでは分かる強烈論理=高部知子

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 真っ赤な表紙、帯には「肉食は我々の義務である」と書かれている。怖いもの見たさのような、そこまで主張する根拠を知りたいような、そんな気持ちで恐る恐る読み始めてみる。『肉食の哲学』(ドミニク・レステル著、左右社、2200円)。

 最初のうちは菜食主義者やビーガン(植物性食品しか食べない完全菜食主義者)の「悪口?」とでもいうような批判的意見が並んでいるのだが、中盤から加速する。

 動物を殺すのは残酷であり保護したい、それゆえ肉食は反対という論理であるなら、あなたは犬や猫に穀物ばかり食べさせるのか? それは虐待であり、伴侶として愛していないことになるだろう、という主張あたりからグンと引き込まれていく。衝撃的な内容に気を取られ、著者プロフィールを見ていなかったのだが、巻末で確認すると動物行動学者であった。なるほどそれで、肉食を勧める言葉と裏腹に、端々に動物への愛情が感じられる…

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