映画 ある画家の数奇な運命 現代史の断面を点綴しつつあの世代の画家に謝意を捧げる=芝山幹郎
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映画を見ている途中で、主人公の生年が気になりはじめた。1937年のドレスデンで幕を開け、60年代前半のデュッセルドルフに至るひとりの画家の半生。その周囲や背景を彩る時代と世相の転変に、なんとなく見覚えがある。いや、この眼で見たわけではないのだが、主人公と似た匂いの人たちと、私は会ったことがある。
もしかすると、中西さんや赤瀬川さんより少し上の世代の話ではないか。
映画の途中で、私ははたと思い当たった。中西夏之は1935年生まれ、赤瀬川原平は37年生まれの画家だ。若いころに面識を得て、ときどき話を聞かせてもらった記憶がある。絵はもちろんのこと、話す言葉も面白い人たちだった。
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