教養・歴史アートな時間

クラシック オペラ『アルマゲドンの夢』/藤倉大=梅津時比古

演出のリディア・シュタイアー(左)と作曲の藤倉大(右) 提供/新国立劇場
演出のリディア・シュタイアー(左)と作曲の藤倉大(右) 提供/新国立劇場

 ◆A Dream of Armageddon/FUJIKURA Dai 〈英語上演/日本語及び英語字幕付〉

社会的な問い内包した夢幻世界 今秋最大の注目オペラが開演

 新型コロナウイルス禍によって壊滅状態であったクラシック界も徐々に再興してきた。歌手の飛沫(ひまつ)感染対策が難しいだけに最も遅れていたオペラ分野も、藤原歌劇団の《カルメン》、二期会の《フィデリオ》など、さまざまに舞台の演出を工夫して上演にこぎつけた。新国立劇場も再開し、上演が実現されるか心配されていた藤倉大作曲の新作オペラ《アルマゲドンの夢》の世界初演も挙行される。今秋最大の注目を浴びる創作異色作である。

 ロンドンを本拠に活躍する藤倉がオペラを手がけるのは3作目だが、フルオーケストラと合唱を伴う大型オペラは初めて。《アルマゲドンの夢》のテキストはH・G・ウェルズのSF短編で、全体主義と科学技術の発展とのかかわり合いの中で大量殺りくの不安を描き出したものである。脚本家で詩人のハリー・ロスによって翻案された台本(英語)で、いみじくもコロナ禍を予期していたような問題提起を持つ多層的な作品に仕上がっている…

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