映画 博士と狂人 70年がかりの英語大辞典 2大俳優が描く編さんドラマ=野島孝一
有料記事
これは驚くべき実話を基にしている。1928年の刊行まで、実に70年もかかったという世界最高峰の辞典「オックスフォード英語大辞典」(OED)。それを完成に導いたのは、独学で言語学博士になったイギリス人の異端の学者ジェームズ・マレーと、殺人犯のアメリカ人、ウィリアム・チェスター・マイナーだった。
「えっ。殺人犯?」と誰しもがびっくりするが、マイナーはエール大学で医学を学び、軍医として南北戦争の北軍に従軍。脱走兵の処刑が原因で精神に異常をきたし、退役後イギリスに渡った。1872年、ロンドンで妄想にかられ、貧民街で住人1人を射殺。精神異常で保護処分になり。精神病院で終身監禁を宣告された。
メル・ギブソンとショーン・ペンの2大スターが激突する。メル・ギブソンが演じたのは、孤高の学者マレーだ。オックスフォード大学から辞書の編さんを命じられたが、たたき上げの彼は、権威性の高い象牙の塔で孤独な闘いを強いられた。
残り837文字(全文1240文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める