教養・歴史書評 『やってくる』 郡司ペギオ幸夫著 医学書院 2000円 2020年10月23日 『やってくる』 郡司ペギオ幸夫著 医学書院 2000円 「人間は人工知能にとって代わられる」と脅されるようになった。そして「能力を高めなければ生き残れない」と焦ってしまう。本書はそんな風潮の上にいるところに、座布団を引っこ抜くような爽快な一冊だ。著者はむしろ人間のほうが人工知能化し、認識の枠組みが固定していると憂う。「干しぶどうだと思ってかじったら、虫の死がいだった」など、認識と感覚がズレた驚きのエピソードの数々に、そのズレこそ人間の本質なのだと考えさせられる。(A) 前の記事 10月1~7日(ビジネス/フィクション) 次の記事 アメリカ クオモ知事の対策奮闘記、評判は今ひとつ=冷泉彰彦 文字サイズ 小中大 印刷