教養・歴史 書評 『ヒトラーの脱走兵』 對馬達雄著 中公新書 880円 2020年10月30日 『ヒトラーの脱走兵』 對馬達雄著 中公新書 880円 ナチスドイツ国防軍から脱走し、軍法会議で死刑を宣告された兵士は、死後も「裏切り者」扱いで「名誉の戦死者」とは区別された。減刑などで生き永らえても戦後に年金を受給できなかった。しかし「脱走はナチスの戦争に加担しないという抵抗の一つ」との考えが独社会で醸成されていく。本書は、脱走した生存者の一人・バウマンが戦後60年を経て、自身と、死刑執行された戦友の名誉を回復する過程を描く。バウマンの粘り強さに心打たれる。(F) 前の記事 『やってくる』 郡司ペギオ幸夫著 医学書院 2000円 次の記事 書店探訪の「御書印」プロジェクト=永江朗 文字サイズ 小中大 印刷