教養・歴史書評

新たな希望に向けて、リベラルの現状痛烈批判=ブレイディみかこ

『忖度しません』
『忖度しません』

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「バカが世の中を悪くする、とか言ってる場合じゃない」。大統領選挙で米国が大揺れしていたときに開いた本の最初のタイトルが、あまりにもタイムリーだった。月刊誌『ちくま』に連載中の斎藤美奈子「世の中ラボ」が、『忖度(そんたく)しません』(筑摩書房、1600円)という書名で単行本化された。この連載は以前にも『月夜にランタン』『ニッポン沈没』という書名で単行本になっていて、本書で3冊目だ。時系列ではなくテーマごとに並べられた「書評の顔をした社会時評」は、連載中よりもなぜかいっそう切れ味鋭く感じられる。

 冒頭の「『反知性主義』を批判するあなたの知性」では、数年前に話題になった「反知性主義」本について論じているが、「こうまでして『反知性主義』にこだわることに、いったいどんな意味があるのだろう。手の込んだやり方で『バカが世の中を悪くする』といいたいだけ、に見えるんですけどね」「日本の知識人はバカの悲しみに鈍感なところがある」と金言の連発だ。

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