「眩しさ」から分断国家へ 史実と実感で記す米国史=本村凌二
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戦後すぐに生まれた団塊世代の青少年時代、アメリカは輝いていた。白黒テレビシリーズの『サーフサイド6』では、マイアミビーチを舞台にリッチな若者たちが明朗陽気に活躍する。そのしゃれたムードはただただ眩(まぶ)しかった。
古矢旬(じゅん)『グローバル時代のアメリカ 冷戦時代から21世紀』(岩波新書、900円)は、1970年代もまだ「豊かな社会」の余韻が残っており、留学中の著者は、「近いアメリカ」として感じていたらしい。
しかしながら、そのころ、南北戦争終結から1世紀にわたる長期的変化がたどり着いた絶頂期にあって、アメリカの国家体制は大きく動揺しはじめていたのだ。80年の大統領選挙の前夜、アメリカは内政・外交のいずれにおいてもどん底だった。だが、反ソ・反共の強硬路線を走るレーガン政権は、冷戦の緊張緩和などから国民の広い支持率を集め、共和党選出の大統領へとつながった。
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