教養・歴史書評

絶対に行くことはないけれど 未知の南極事情に興味津々=高部知子

『あしたの南極学』
『あしたの南極学』

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 私は子どもの頃から日本国内の旅が好きで、同じ金額を使うなら海外よりも国内温泉旅行を豪華にしたいタイプ。しかし未知の国の生活様式を知るのは大好きである。だから、生涯訪れることのないような国のトイレ事情に詳しかったりする。例えば南極。宝くじに当たっても絶対に行かないであろう場所。それなのに今まで何冊、南極の本を読んだことか。で、『あしたの南極学 極地観測から考える人類と自然の未来』(神沼克伊著、青土社、2200円)。

 今から半世紀以上前、まだ南極には船で2カ月以上かけて(しかも片道だけで!)行かなければならなかった頃から15回行き、2回越冬も経験している研究者のお話。知らないことが満載だ。ビックリしたのは南極には既に、幼稚園や小学校、スーパー、郵便局や銀行までそろっており、「南極ベビー」も誕生していること。小学校の先生は「隊員」ではなく「先生」として南極に暮らしているとは、たくましすぎる赴任地だ。

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