読書日記 イタリアに残る独自文化を「おいしく料理」してみせる=楊逸
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落ち着きつつあった新型コロナウイルス禍は、年末の忘年会シーズンになると一転、「想定外の感染拡大」へと発展し、「緊急事態宣言」が再発令された。家族との団らんをあきらめ、お正月を一人寂しく過ごした人も多いだろう。
私の「一人正月」を癒やしてくれたのは、現代人ではあまり望めないようなぜいたくをそれぞれの物語に盛り込んだ短編集『海と山のオムレツ』(カルミネ・アバーテ著、関口英子訳、新潮クレスト・ブックス、1900円)だった。
イタリア南部やシチリア島には、15~18世紀にオスマン帝国の圧政から逃れてきたアルバニア人たちが作った「アルバレシュ」と呼ばれる村が点在する。そんな村の一つに育った著者のアバーテ氏は、食をキーワードにアルバレシュ文化の原風景を「おいしく料理」してみせる。
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