教養・歴史アートな時間

映画 ブックセラーズ 本の世界の歓びは滅びない ふわりとしたペースが快い=芝山幹郎

 身動きも取れぬほどの本に埋もれた暮らし。身のまわりの持ち物を最低限に削って気ままに漂流する暮らし。

 思えば私は、若いころから両者の間で揺れ動いてきたような気がする。両方に憧れ、どちらも半端に終わりそうなのは痛恨の極みだが、対照的に見えて、このふたつは意外に近い。

 共通点は、社会や共同体に背を向けていることだ。こういって大げさなら、好きな世界に頭から飛び込む生き方、と言い直そうか。少なくとも、世間の約束事には盲従しない生き方。

 漂流を夢想する若者は多い。実践する若者も、小説や映画に数多く登場する。一方、本好きの印象は地味だ。愛書家といわれるならともかく、本の虫とか書痴とか、しばしば皮肉な呼び方もされる。《ツイードの上衣を着た気むずかしい老人》という決まり文句もよく耳にする。

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