映画 いのちの停車場 東京を離れ、小さな診療所へ 在宅の終末医療が描く生と死=野島孝一
有料記事
吉永小百合が地方都市で在宅医療に携わる小さな診療所の医師を演じる。原作は現役の医師、南杏子。
白石咲和子(吉永小百合)は、東京の救命救急センターで働いていたが、ある出来事の責任を取って辞職し、父親が1人で住む実家のある金沢に帰る。実家では父(田中泯)が待ち受けていた。咲和子は車椅子の院長の仙川(西田敏行)が経営する在宅医療施設「まほろば診療所」に勤め始める。そこには亡くなった姉の子を育てる訪問看護師の星野(広瀬すず)が働いている。やがて、東京から咲和子を追って救命救急センターの事務員をしていた野呂(松坂桃李)もやってきて、強引に居座ってしまう。野呂は咲和子がセンターを辞任した出来事に責任を感じていた。
映画は、理想郷を意味する「まほろば」の患者たちと医療スタッフとの交流を通して、在宅医療の意義について考えさせる内容になっている。患者たちは、もはや回復の手立てがないような末期的な症状だが、院長は、自由に行動することを許しており、入院させて治療することを強要しない。大病院の救急医だった咲和子は戸惑うが、次第にそのような在宅医療の意義を理解し始める。だが、相次ぐ患者たちの死は、咲和子の精神を痛めつけ…
残り663文字(全文1168文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める