新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

教養・歴史 アートな時間

人工中絶に臨む少女の孤独――ベルリン国際映画祭グランプリ作が公開=野島孝一

(c)2020 FOCUS FEATURES, LLC. All Rights Reserved.
(c)2020 FOCUS FEATURES, LLC. All Rights Reserved.

映画 17歳の瞳に映る世界 思わぬ妊娠に戸惑う少女 米国の現実が胸に迫る=野島孝一

 第70回ベルリン国際映画祭銀熊賞(審査員グランプリ)や、サンダンス映画祭2020ネオリアリズム賞を受賞した。世界各地の国際映画祭で上映され、注目を集めたみずみずしい作品だ。

 米ペンシルベニア州に住む17歳のオータム(シドニー・フラニガン)は孤独で愛想がない少女。高校に通い、地元のスーパーで、いとこのスカイラー(タリア・ライダー)とレジ打ちのバイトをしている。そんなオータムは自分が妊娠しているのを知る。当地では中絶手術には親の承諾が必要となる。親には打ち明けられないオータムは、スカイラーに付いてきてもらい、長距離バスでニューヨークへ向かう。こっそりと中絶手術を受けるために──。

 たいした筋書きがあるわけではない。ただ、じっと2人の少女を見つめるだけ。だから無理やりに作り上げたドラマという感じがしない。まるでドキュメンタリー映画を見ているようだ。撮影のエレーヌ・ルヴァールは、アニエス・ヴァルダ監督やヴィム・ヴェンダース監督のドキュメンタリー映画で力を発揮してきた。リアルな描写は得意だから臨場感が観客の胸を揺さぶる。自分でも思わぬことに巻き込まれた少女たちの戸惑いが、実感を…

残り725文字(全文1258文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月3日号

経済学の現在地16 米国分断解消のカギとなる共感 主流派経済学の課題に重なる■安藤大介18 インタビュー 野中 郁次郎 一橋大学名誉教授 「全身全霊で相手に共感し可能となる暗黙知の共有」20 共同体メカニズム 危機の時代にこそ増す必要性 信頼・利他・互恵・徳で活性化 ■大垣 昌夫23 Q&A [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事