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週刊エコノミスト Online ワイドインタビュー問答有用

「トクサンTV」のアニキが語るユーチューブとテレビのこれから 平山勝雄・ケイコンテンツCEOインタビュー=元川悦子

「『公共の電波』ではなくとも、世のため人のためになるものを作り続けるのが僕らクリエーターの責務です」 撮影=佐々木龍
「『公共の電波』ではなくとも、世のため人のためになるものを作り続けるのが僕らクリエーターの責務です」 撮影=佐々木龍

「トクサンTV」のアニキ=平山勝雄・ケイコンテンツCEO/850

 草野球がテーマのユーチューブチャンネル「トクサンTV」が人気を集めている。このチャンネルを引っ張るのは、草野球チームの「アニキ」こと、元テレビ局プロデューサーの平山勝雄さん。動画を舞台に新たな世界を切り開こうとしている。

(●聞き手=元川悦子・ライター)

「日本発で世界中に響く動画コンテンツは必ずある」

「かつてのテレビ寡占状態から高画質の動画メディアができ、競争が生まれました」

── 草野球がテーマのユーチューブチャンネル「トクサンTV」は、今年6月現在で登録者数63万人超、月間再生回数1500万回の人気チャンネルですね。

平山 出演者の「トクサン」こと徳田正憲さんと「ライパチ」こと大塚卓さんは、2008年に発足した東京の軟式草野球チーム「天晴(あっぱれ)」の仲間です。16年8月に「自分たちがやっていることを知ってほしい」と思って始めたのが「トクサンTV」。隣のお兄さんに野球を教えてもらえるような気軽さに多くの人が共感してくれたのか、たくさんの人に見てもらえるようになりました。メジャーリーガーの前田健太投手や楽天に復帰した田中将大投手らも出てくれるチャンネルになったのは、本当にうれしいですね。(ワイドインタビュー問答有用)

── 平山さんがCEO(最高経営責任者)を務める動画製作会社「ケイコンテンツ」(東京都港区)が手掛けるチャンネルは、「トクサンTV」のほか、追い詰められた人間のその後を描く漫画を動画として配信する「ヒューマンバグ大学 闇の漫画」、見た人が前向きになれる漫画動画「エモル図書館~時々、エビル~」など、現在九つありますね。

平山 企画を作る時に最も重要視しているのは、社会的意義です。「トクサンTV」なら野球を通しての人間的成長や新たな学び、気付きにつながりますし、ストレス発散にもなると思います。「ヒューマンバグ大学」では「死刑囚の最期の1時間」などショッキングなテーマを扱いますが、命を守る大切さを漫画を通して伝えられるという特徴があります。

── 「ヒューマンバグ大学」では今年3月、東日本大震災から10年の節目に、石巻赤十字病院(宮城県石巻市)とコラボした動画を配信しましたね。病院に運び込まれるおびただしい死者や泣き叫ぶ遺族、混乱を極めながら対処に当たった病院の現場など、実話をもとに迫力のある漫画として描き、100万回以上再生されています。

平山 この3・11企画は先方からオファーをもらって製作したものです。震災から10年が経過し、改めて命を守ることの意味を考えてもらいたくて、全力で取り組みました。世の中には目を背けたくなることがたくさんありますが、その怖さを知って初めて助け合い精神が生まれると思います。漫画を動画として見せるという表現方法も、このテーマにぴったりでした。

── なぜ、あえて漫画を動画にしようと思ったのですか。

平山 僕はプロデューサーなどをしていた読売テレビ時代、番組内の再現ドラマの演出を手掛けた経験もありますが、実写ではどうしてもコストの観点から、現場のリアルな状況などを表現しきれない部分が少なからずあると感じていました。リッチな再現ドラマですべてを表現できたら理想的ですし、最高だと思いますが、非常に大きな手間と時間、費用がかかる。これはユーチューブでは成立しません。しかし、漫画なら実話を安価に表現できるメリットがある。そこに着目しました。

 ユーチューブで実話の漫画チャンネルが出始めた時、テレビマンの自分が構成などを手掛けたら、もっと再生回数を伸ばせるのではと考えまし…

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