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週刊エコノミスト Online ゼロからはじめる資産形成

ゼロからはじめる資産形成⑦ はじめてでもわかる!投資信託の基本

投資信託は「資産運用のプロ」が投資家に代わって運用する
投資信託は「資産運用のプロ」が投資家に代わって運用する

 つみたてNISAやiDeCoで、税制のメリットを活かした資産形成を始める人が増えてきました。しかし、その資産形成のもととなる「投資信託」についてはよくわからない、という人も多いのではないでしょうか。「投資信託」についてしっかりと知ることは、積立投資を続けていく上で、とても大切なことです。

 この記事では、投資信託の特徴やしくみ、種類、コスト、税金、購入の仕方などについて解説します。これから始めたい人も、始めたけれどよくわかっていない人も、ぜひ参考にしてください。

投資信託ってなに?

 投資信託とは、投資家から集めた資金をまとめ、運用のプロである専門家が株式や債券などに投資し、運用する金融商品のこと。投資にあまり詳しくなくても、まとまった資金がなくても、手軽に資産運用ができる仕組みが整っています。

 たとえば、運用資金があっても、投資の知識や経験がなければ、成長が期待できる企業の株式を自力で選ぶのは簡単ではありません。また、一度に数十万円、数百万円など大金を投資する必要がある株式投資だと、貯金が大きく減るのが怖くて始められないという人もいるでしょう。

 そんな人でも、成長が期待できる企業や地域に少額から投資ができて、投資する企業の選定は運用のプロがしてくれる金融商品なら、気軽に始められそうですね。

 投資信託の主な特徴は、少額・分散・専門家の3つです。詳しく見ていきましょう。

投資信託の特徴① 少額から購入できる

 投資信託は、1万円程度の少額から購入できるので、まとまったお金がなくても始められます。近年、ネットの金融機関が増えてきたこともあり、最低100円や1000円から購入できるところもあります。もちろん、数十万、数百万円といったまとまった資金での購入も可能です。

投資信託の特徴② 分散して投資される

 投資家(投資信託を買う人のこと)ごとの投資金額は少額でも、ひとつにまとめると大きな資金になります。資金がまとまれば、多くの投資先に分けることが可能であり、投資信託の商品は必ず、複数の投資先に分散投資される作りになっています。

 たとえば株式に投資をする場合、将来が有望と思われる企業でも、経営状況が悪化することもありますし、最悪の場合だと倒産しないとも限りません。投資信託であれば、複数の投資先に分散して投資されているため、将来の不確かさの影響が、一つの会社に投資するよりは少なくなります。

投資信託の特徴③ 専門家に任せられる

 有望と思われる投資先の選定は、運用を専門に行っている専門家に任せることができます。投資先の調査や見通し、状況変化などをつぶさにキャッチすることを日常業務としている専門家が、投資信託の運用を担当しています。そのため投資信託は、投資に詳しくなくても、投資の経験がなくても、誰にでも活用できる金融商品と言えるのです。

透明性・安全性が比較的高い

 また、投資信託は運営のしくみから、透明性や安全性が比較的高い金融商品であることも特徴の一つです。

 投資信託の運営は、購入や売却など取引の窓口となる「販売会社」、商品を作り運用を担当する「運用会社」、投資家の資金を管理し運用会社の指示で株式や債券の売買をする「信託銀行」の3つの会社が関わって行っています。

 一見、複雑に見えますが、3つの会社が役割分担することで、運営の透明性が保たれているのです。

 また、投資家の大切な資産は、資産管理を専門に行う信託銀行が、分別管理という法の下、自己の資産と分けて管理しています。これにより、万が一、信託銀行が破たんしたとしても、投資家の資産は守られることになっています。

どんな種類がある?

 投資信託にはさまざまなタイプの商品があり、現在、約6000本ものファンドがあります(投資信託協会、2021年7月末現在)。

 投資先の種類で分けると、主に株式に投資する株式ファンド、債券に投資する債券ファンド、その両方に投資するバランスファンドがあり、その他にリートと呼ばれる不動産投資信託やETF(上場投資信託)などがあります。

 また、その投資について、日本国内だけを対象とするのか、広く世界を対象とするのかでも分かれています。

 つまり、約6000本と星の数ほどのファンドがありますが、ざっくりと「どこの(国や地域)」「なにに(株式や債券)」に投資しているかに分かれていると理解してよいでしょう。いくつもの運用会社がそれぞれにファンドを作るので、本数が多くなってしまうのです。

運用スタイルは「インデックス型」と「アクティブ型」

 投資信託には大きく2つのタイプの運用スタイルがあります。たとえば、日本の株式に投資をする株式ファンドでも、指数に連動するようなインデックス型と、運用会社が投資する企業を選抜するアクティブ型の2つのスタイルに分かれます。

 指数というのは、日本の株式であれば日経平均株価やTOPIX、米国の株式であればS&P500といった、それぞれの市場の平均を表すものさしのようなものです。ひとつひとつの企業の株価は上がったり、下がったりとバラバラですが、指数によって市場全体の平均を見ることができます。

 その市場の平均である指数に連動することを目指すのがインデックス型の投資信託、平均ではなく、より運用成果が期待できる企業を選抜して組み合わせるのがアクティブ型の投資信託です。

コストについても知っておこう

 投資信託には、主に次の3つのコストがかかります。

・購入時にかかる「購入時手数料」

 購入時にかかる、販売会社に支払う手数料です。ノーロードと言って手数料が0円のファンドもあれば、約3%のものもあります。iDeCoやつみたてNISAで購入できるファンドは、すべてノーロードです。また、市場や企業の調査など情報収集などに手間がかかるアクティブ型のほうが、インデックス型よりも手数料が高いという傾向があります。

 この手数料は、同じファンドでも販売会社によって異なる場合があります。気になるファンドがあったら、手数料のかからない、あるいはより低い販売会社を選ぶようにしましょう。

・保有している間にかかる「信託報酬」

 信託報酬は、資産から日々間接的に差し引かれるため、支払っている実感があまりないコストです。しかし、運用のよしあしに関わらず、ずっとかかり続けるため、ファンドを選ぶ際には注目すべきコストです。信託報酬率はファンドによってまちまちです。同じ投資先、同じ投資スタイルであれば、より低い信託報酬のファンドを選びましょう。

・売却時にかかる「信託財産留保額」

 ファンドを売却する際には、信託財産留保額というコストがかかる場合があります。信託財産留保額は、売却する際にかかる費用をファンドに残すためのコストで、ファンドによりかかるものとかからないものがあります。

利益には20%超の税金がかかる…初めて投資するならNISAやiDeCoの活用を

 投資信託を保有している間に受け取る分配金や、売却する際の利益には20.315%(所得税・住民税20%、復興特別所得税0.315%)の税金がかかります。ちなみに「特定口座の源泉徴収あり」を選んでおけば、確定申告の必要はありません。

 もしこれから投資信託を初めて買うとしたら、運用益や分配金に課税がされないNISA(つみたてNISA)やiDeCoを活用することをおすすめします。

どうやって買うの?

 投資信託は、証券会社、銀行、保険会社、信用金庫などの金融機関で購入できます。運用会社が販売会社を通さず、直接販売しているところもあります。

 店舗のある金融機関であれば窓口で、ネット証券やインターネットバンキングであればネットでも手続き可能です。口座開設の際は、本人確認書類のほかにマイナンバーカードが必要です。

 金融機関によって、取り扱う投資信託の商品は異なります。お目当ての商品があるか、コストはどれくらいかを各金融機関のホームページで確認しましょう。

 購入方法は、一括のほかに積み立てもできます。売却は、時価(基準価額)で保有する一部あるいは全部など指定して、いつでも手続き可能です(一部のファンドを除く)。

元本保証は無し

 このように投資信託は、誰にでも手の届きやすい資産運用の手段として、多くの魅力がある金融商品です。しかし、株式や債券など値動きのある資産に投資しているため、預貯金と異なり元本の保証はありません。投資先の分散や、積み立てのように購入時期を分けるなど、リスクを低減する工夫をして、投資信託を上手に活用しましょう。

(みらい女性倶楽部 冨田仁美)

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