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ゼロからはじめる資産形成⑪ もらって嬉しい「株主優待」 楽しく上手に活用する方法

    株主優待も株式投資の楽しみの一つ
    株主優待も株式投資の楽しみの一つ

     株式投資をしている人から、「クオカードをもらった」「新商品が届いた」という話を聞いたことはありませんか?それは「株主優待制度」によるものです。株価が上がって得られる利益よりも、投資した企業からもらえるプレゼントなどに興味があって、「こんなものがもらえるなら株式投資をやってみたい!」という人も多いのではないでしょうか。今回は、株主優待の概要やもらい方、株主優待目的で投資する際の注意点について解説します。

    株主優待とは「株主になってくれたお礼」

     企業が株主になってくれたお礼として、自社の商品やサービスを提供するのが「株主優待」です。

     株主優待を実施している企業は1478社あります(2021年12月20日現在、SBI証券サイトにて筆者調べ)。国内の上場企業数が約3800社なので、2~3社に1社の割合で株主優待を実施していることになります。

    株主優待をもらうには…

     株主優待をもらうには、株主としての権利が確定する「権利確定日」に、その銘柄の株主になっている必要があります。株主になるには、権利確定日の2営業日前の「権利付最終日」までに、その銘柄を買い付けないといけません。これは、株式の買い付けから受け渡しまで2営業日かかるためです。

     たとえば、1月に株主優待を実施する銘柄で、権利確定日が2022年1月31日(月)だったら、権利付最終日は1月27日(木)です。その日までに買い付けていれば、優待がもらえます。買い付けが権利付最終日を1日でも過ぎると、株主優待はもらえないので注意が必要です。

     権利確定日や権利付最終日の情報は、証券会社のホームページで確認できます。調べたい銘柄で検索した際、「権利確定日」が具体的な日にちではなく「月末」となっている場合があります。「月末」とは、その月の最終営業日のことです。土日や祝日は含まれませんので気をつけましょう。

     また、株主優待をもらうのに、保有株数や株主の継続期間などの条件を設けている場合があります。100株から買える株式でも、優待は500株以上の株主とするケースや、1年以上継続して保有している株主に優待を実施するケースなどがあります。こちらも権利確定スケジュール同様、事前に確認しておきましょう。

     株主優待の実施タイミングは、企業によってまちまちです。本決算と中間決算時に配当を出す企業でも、株主優待は本決算の時だけとしていることもあります。株主優待が実施される条件を、しっかり確認しておきましょう。

     なお、権利確定日に株主であれば、すぐにでも株主優待をもらえそうですが、実際には数カ月くらい経ってようやく優待のお知らせやプレゼントが届きます。楽しみに待ちましょう。

    株主優待には具体的にどんなものがある?

     株主優待は多くの企業が実施していますが、実際、株主はどんなものをもらえるのでしょうか。自社製品がある企業なら新商品の詰め合わせ、娯楽施設を運営しているなら施設利用券、航空・鉄道系企業は乗車券の割引など。その他、カタログギフトや商品券といった、その企業とは関係のない優待品を提供しているところもあります。

    株主優待は、新商品の詰め合わせ、割引券などさまざま
    株主優待は、新商品の詰め合わせ、割引券などさまざま

     具体的な優待内容を知るには、証券会社のホームページや株式情報サイトの活用が便利です。株主優待銘柄の検索が簡単に出来るよう、優待内容をジャンル(飲食料品、金券、交通・旅行、宿泊など)ごとに分け、興味のある優待を実施している企業を絞り込めるようになっています。優待獲得に必要な金額の条件も設定すれば、投資可能額の範囲で魅力ある優待企業だけを抽出できます。

     筆者の母も株主優待目的でO社株を保有しており、株主優待で年1回送られてくるカタログギフトを楽しみにしています。4~5年前に投資したその株式は、現在買値の1.5倍程度まで値上がりしていますが、途中コロナショックで株価が大きく下落した時期もありました。しかし、優待と配当が目的のため、売却は考えず保有を選択できたようです。おかげで継続保有期間も長くなり、優待カタログの内容がアップグレードしました。

     継続して保有し続ける株主に厚めの優待を実施する企業が、O社を含め520社(2021年12月20日現在、SBI証券サイトにて筆者調べ)あります。株主優待は、企業にとっては安定株主の確保につながり、投資家にとっては、相場の急落時に慌てて株式を売却することを避けられる一つの要素と言えます。

    こんなハズじゃ…を避けるには

     株式を保有している間に、「買値よりも値上がりし、その間、配当や株主優待までもらえた!」と順風満帆であればよいですが、その逆もありえるのが株式投資です。

     株主優待目的の株式投資は、比較的、長期投資になりやすく、日々の株価の上がり下がりに一喜一憂しないで済むかもしれません。しかし、株主優待は、企業にとって義務でも約束事でもないことは、注意しておきたいポイントです。

    株価が下落すれば、株主優待のメリットより資産目減りの痛みの方が大きい場合も…
    株価が下落すれば、株主優待のメリットより資産目減りの痛みの方が大きい場合も…

     企業業績の悪化や、その他の企業の事情で、株主優待制度の維持が困難になることがあります。すると、優待内容の改悪や優待制度そのものの廃止の可能性もあります。その影響から株主離れとなり、株価が下落することも考えられます。

     おトクだと思っていた優待のプレゼントを金額に換算してみると、株価の下落の方が大きく、株主優待のメリットより資産の目減りが痛い…なんてこともよくある話です。

     そこで、楽しい株主優待がこんなハズじゃなかったとならないために、次の3つのポイントを心がけておくとよいでしょう。

    ① できれば複数の銘柄に分散投資をする

    ② 株式保有期間中も企業業績をチェックする

    ③ 株主優待で得られる商品やサービスを金額換算し、おトクさを冷静に判断する

     株主優待が目的であっても、株式投資であることに変わりありません。おまけに目がくらんでいるうちに、元手が大きく毀損していたら本末転倒です。

    リストを作って、楽しい株主優待投資を

     最後に、これから投資を検討している人に、株主優待銘柄の「リスト作り」をおすすめします。

    最近の株式市場では、年に数回の急落や、数年に一度は暴落するような場面があります。日頃から投資したい銘柄のリストを作っておくと、そのような株式市場の調整時にタイミングよく安い株価で買い付けができます。

     たとえば100株で1000円のクオカードがもらえる銘柄の場合を見てみましょう。

     株価が1株2000円の時に100株買い付けると投資額は20万円です。株価が調整して1株1500円になった時に100株買い付けると15万円です。100株を20万円で買い付けた人も、15万円で買い付けた人も、同じ100株の株主なので1000円のクオカードがもらえます。

     このように、株価が安い時に買い付けた方が、優待のおトク度が上がり、その後の株価の上がり下がりのリスクにも有利に働きます。その結果、より長く株主でいられる好循環となることが期待できます。

     株主優待に興味があっても、すぐに飛びついて買い付けるのではなく、じっくりタイミングを待って、上手に株式投資を楽しんでください。

    (みらい女性倶楽部 冨田仁美)

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