週刊エコノミスト Onlineゼロからはじめる資産形成

ゼロからはじめる資産形成⑫ 資産形成プランは「3つのステップ」で立てるべし!

効果的な資産形成にはプラン設計が欠かせない
効果的な資産形成にはプラン設計が欠かせない

 資産形成のさまざまな手段を取り上げてきた本連載ですが、金融商品や制度の概要に詳しいだけでは、意味ある資産形成はできません。長く資産形成を続けるためには、何のための資産形成なのか、なぜその手段を採るのか、理解していることが大切です。闇雲に始めるのではなく、資産形成のプランを立てることが重要なのです。今回は、3つのステップで資産形成プランを立てる方法をお伝えします。

ステップ① 資産形成の目標を決める

「何かの時のために…」と、なんとなく貯金や投資をしていませんか?家計を切り詰めて資産形成をしているのに、「いざという時に、本当に足りるかわからなくて不安」なんてことはないですか?

 資産形成を成功させるコツは、「使う内容」「必要な金額」「使う時期」を明確にしておくことです。予定がわかっていれば、途中で挫折することも、別の目的で使ってしまうことも避けられます。

 まず、これからの生活の中で、「子どもの大学進学費用」「住宅購入の頭金」など、家計から捻出するのが難しそうなことがらを書き出してみましょう。そして、いくらあれば安心できるか考えて、資産形成の目標金額を決めます。また、その時に入ってくる「保険の満期金」など充てられるお金があればそれも書き出し、今から準備する必要がある金額を算出します。たとえば教育費の例では、今後の児童手当をすべて貯めたと仮定して、「充てられる金額」に入れてあります。

 あくまで一例となりますが、次のような表にまとめて整理してみましょう。

 ステップ1では「いくらあれば安心か」を考えるのがもっとも大変です。教育費であれば、大学費用をどこまで出してあげたいか、また、留学などもさせてあげたいのか、といった点を考えないと算出できません。老後資金であれば、どんな暮らしをしたいか、また、仕事はいつまでするつもりかなど、自分の心と向き合って算出してみましょう。どちらもご家族やご夫婦で話し合って、価値観を共有し、目標金額を一緒に設定することが大切です。

ステップ② 目標達成のためにできる積立可能な金額を算出する

 目標を決め、不足する金額を算出できたら、目標達成のために必要な積立額を出します。最初は、単純に不足する金額を積み立てできる期間で割って、書き出しましょう。ボーナスからも回せますので、月額と年額を両方書き込むと良いですね。

 このように資産形成の目標を整理してみると、資金が必要になる時期や金額が明確になり、「最低限しておくべきこと」がわかるため、資産形成へのモチベーションも維持できますし、何より安心感を得られます。

 しかしながら、必要積立額を算出して、「こんなに毎月積立できない」と愕然とするケースも少なくありません。その場合はどうすればよいのでしょうか。

 今の家計状況で、算出した金額の積立をするのが難しい場合は、資金の優先度の高いものから、積立プランをたてていきましょう。たとえば上表の例であれば、時期も近く、節約するのも難しい教育費を優先します。教育費の必要積立額は月1.48万円ですので、もしあと5万円の積立が可能であれば、ローン返済用の積立と、老後資金の一部を優先しようなどと考えます。とはいえ、今積立できなくても、いつかは着手しなければいけません。子どもがいる場合は、一般的には子どもが独立したあとに、それまでかかっていた教育費をそのまま貯めて積立スピードをアップさせます。この例では、以下のようにプランを立てることができます。

 第2子が大学に入学する13年後までは、ローン返済分と老後資金の一部を積立、13年後からリフォーム代の積立を月5.95万円で始めます。第1子が大学を卒業する15年後から、老後資金として月20万円の積立をすれば、当初の目標を達成することができます。いくら子どもの一人が独立した後といっても、月25.95万円もの積立は無理…と思ったら、「家計を見直しして今の貯金額を増やす」ことや「目標金額を下げる」ためにできることを考えます。たとえば老後資金の目標金額を下げるために、60歳以降も黒字家計になるように働く予定にする、といったことですね。

 このように必要な積立額を「見える化」することで、今すべきこと、将来に向けて意識しておくべきことがわかるのです。

ステップ③ 使う時期と受け入れられるリスクに合う手段を考える

 最後に、積立手段を考えましょう。預貯金など元本を確保できる手段にするか、それとも、元本割れリスクはあるものの、預貯金よりは増やせる可能性もある投資などの手段にするか。選ぶポイントは「使う時期」と「減るリスクをどれだけ受け入れられるか」「目的」の3点です。

「使う時期」が10年以内の資金は元本を確保できる手段であることが鉄則。預金であれば、できるだけ金利の高いネット銀行などを選んで預けるのが良いでしょう。自動的にお金を給与口座から移動させることができる自動定額入金サービスがあり、かつ金利の高い銀行は、現時点では存在しません。高金利を優先したい場合は毎月、ネット振込を自分でする必要があります。手数料にも注意して下さい。その他、お勤め先に財形貯蓄制度があれば活用するといいでしょう。

 使う時期が10年以上先になる資金は、「どの程度減ってしまう可能性を受け入れられるか」考えて、投資手段を組み合わせるのが良いですね。もし、「絶対に減らしたくない」と考えるのであれば、預貯金や財形貯蓄などが良いですし、「できるだけ減らしたくはないが大きくふやせる可能性はほしい」と思うのであれば、預貯金と投資信託や株式などのリスク性商品を組み合わせるのが良いでしょう。リスク性商品を買うならば、まずは一定金額まで非課税で運用できるNISAの活用を。一般NISAなら5年間、つみたてNISAなら購入後20年間非課税で保有でき、その間の売却にも制限がありません。

 また老後資金の場合は、同じ投資信託でも、より老後資金づくりに向いているiDeCoがおすすめです。運用益が非課税で、掛けている間節税もできます。ちなみにiDeCoは定期預金も取り扱うため、どうしても減らしたくない人は、定期預金を選ぶ手もあります。ただしiDeCo自体に手数料がかかることと、60歳になるまでは現金化できないことにも注意が必要です。

 手段を考えたら、表に書き入れて、資産形成プランの完成です。前述の例では以下のように作ってみました(積立額見直し前で例示しています)。

 iDeCoやつみたてNISAには上限金額があるため、会社員を前提にしているこの例では、一人では積立額に達しません。夫婦でiDeCo口座またはつみたてNISA口座を開設して積立することになりますね。

 紹介した内容はあくまで一例ですが、金額を「見える化」して実行すれば、「いつ、いくらお金ができるか」が明確になり、不安感を減らせることがおわかりいただけたかと思います。2022年の始めに、ぜひご家族で資産形成プランを作ってみてくださいね。

(ライフヴェーラ代表/みらい女性倶楽部 鈴木さや子)

(イラスト・小林麻美)

インタビュー

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

8月9日・16日合併号

世界経済 ’22年下期総予測第1部 世界経済&国際政治14 米国は景気後退「回避」も 世界が差し掛かる大転機 ■斎藤 信世/白鳥 達哉17 米ドル高 20年ぶり高値の「ドル指数」 特徴的な非資源国の通貨安 ■野地 慎18 米長短金利の逆転 過去6回はすべて景気後退 発生から平均で1年半後 ■市川 雅 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事