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ゼロからはじめる資産形成⑬ マンション価格が史上最高水準!住宅ローンは一体いくらまで借りてよい?

住宅ローンはいくらまで借りて良いのか…
住宅ローンはいくらまで借りて良いのか…

「首都圏マンション価格がバブル期超え過去最高」というニュースを耳にした方も多いでしょう。実際、マンションの価格水準は年々あがっており、国土交通省が発表している「不動産価格指数(住宅)」によると、12年前と比べてなんと1.7倍(全国ベース)になっています。一方で、会社員の年収は、12年前の平均年収が431万円、現在は433万円とほとんどあがっておらず、家計は依然厳しい状況です。2022年から住宅ローン控除率が下がる予定ではあるものの、超低金利時代は続いていることもあり、あわてて買おうとしてはいませんか?購入するのであれば、いくらまでならローンを組んで良いか、事前に予算を立てることが大切です。考え方のコツをお伝えします。

住宅ローン借り入れ額を考える3つのポイント

 筆者のところに住宅ローンのご相談にこられる人たちの中には、「金融機関が貸してくれる金額」をもとにマイホームの予算を設定している方が少なくありません。その予算でローンを借りた場合の今後の家計をシミュレーションしてみると、将来、老後破たんしてしまうケースも。こうならないために、ローンを契約する前に、次の3つのポイントについてよく考えましょう。

※記事内の試算条件は記載あるものを除き、すべて35年元利均等返済/金利1%としています

① 住居費が手取り年収の30%以内か

 一般的に、住居費の年間負担額が手取り年収に占める割合は、30%以内が安心と言われています。たとえば年収500万円(手取り年収400万円)の人の場合、住居費が3割の120万円であれば、2割である80万円を貯金しても、残りの200万円を生活費や教育費、娯楽費にあてられます。そもそもの年収の額や、他にどのような支払いがあるかにもよりますが、なんとか生活は送れるでしょう。

 ところが、金融機関が貸してくれる上限金額は、年収に占める返済金額の割合(返済負担率)が30~35%となる金額で、手取り年収の30%には収まりません。たとえば、年収500万円(手取り年収400万円)の場合の上限金額は4428万円~5136万円。審査に使われる金利は3~4%と高いため、実際に審査に通るかどうかは不明ですが、この人がフルに5136万円を借りると、毎月の返済額は約14.5万円となり、返済額だけで手取り年収の約43%にもなります。金利を下げて0.5%としても手取り年収の約40%と大きくは変わりません。

 しかも住居費には、返済以外にも、固定資産税や管理費、修繕積立金等がかかるため、合わせると手取り年収の半分近くになる可能性もあり、大変危険です。

② 返している間のライフイベントのお金は足りるか

 人生には、たくさんのライフイベントがあります。冠婚葬祭、子どもの教育、車の買い替えに家のリフォーム、また趣味も楽しい人生を送るために大切なイベントです。ライフイベントにはお金がかかるため、住宅ローンを借りる時には、老後にわたるまで、どんなライフイベントにいくらかかるのかを考え、返しながらそのお金を捻出できるように設定することが大切です。原則、返済期間中は、繰り上げ返済をしない限り返済額を変えることはできません。残りのお金で足りなくなったら、望まない節約生活になったり、さらに借金を重ねたり、なんてことにもなりかねません。

③ 返している間に起こり得る環境の変化に対応できるか

 昨今は不動産価格が高いこともあり、1人の年収だけでは必要な借入額に到達せず、夫婦でペアローンを組む家庭も多いです。ペアローンであれば多くの金額を借り入れることができ、希望の物件を買える可能性が高くはなりますが、夫婦そろってずっと収入を維持し続けなければなりません。返している間に、働く環境や家族環境、健康状態などが変わることはよくあります。

 相談にこられた中には、マイホーム購入後に生まれた子どもの体質が土地に合わず、購入価格よりも低い金額での売却、退職、引越しを余儀なくされたという方もいらっしゃいました。起こり得る環境の変化を洗い出し、ある程度対応できる金額でローンを組むようにしましょう。

「買える金額ではなく、返し続けられる金額を知るべし!」です。

同じ年収でも、破綻する人としない人の違いはズバリ「貯金力」

 手取り年収の30%以内が安心と前述しましたが、ここでは年収が同じで同じ物件を買っても、家計の安心度が大きく異なる2つのケースについてお伝えしましょう。

 年収と家族構成と買った物件は同じですが、違うのが「貯金力」です。Aさんは貯金があまりできず、頭金ゼロでマンションを購入。購入後はなんとか貯金をしますが、返済額が高いため、生活はかなり厳しいようです。一方、貯金力があるBさんは、物件価格の3割を頭金をとして支払い、購入後も着実に貯金を続けています。

<試算条件>

・年収:800万円(手取り年収640万円)

・家族構成:夫40歳・妻37歳・子ども3歳・0歳

・進路:中学まで公立、高校は私立、大学は私立文系

・物件価格:6000万円(長期優良住宅/2022年購入)

・購入時諸費用:600万円

・生活費(住居費以外):Aさん 月18万円+年80万円 Bさん 月16万円+年80万円

・住居費:ローン返済以外に年50万円

◎頭金ゼロでマンションを買ったAさんの家計

 諸費用600万円はなんとか貯金から出したけれど、物件価格の6000万円分のローンを組んだAさん。毎月の返済金額は169,371円となりました。子どもが小さいうちは頑張って貯金していましたが、高校・中学にあがった年から赤字が続き、下の子が大学に入る時にとうとう家計が破たんしてしまいます。

◎頭金を3割貯めてマンションを買ったBさんの家計

Bさんは、物件価格の3割である1800万円分を貯金していたため、借入は4800万円となり、毎月の返済金額は135,497円。生活費はAさんより月3万円少なく、さらには返済額も少ないため貯金もできており、破たんすることはありません。

同じ年収でも、家計が健全かどうかが「貯金力」にかかっていることがよくわかりますね。

わが家が借りてもなんとかなる金額はいくら?

 今後の人生も安心して過ごすために借りてよい金額は、返済額に税金、管理費、修繕積立金などを合わせた住居費が、手取り年収の30%までにおさまる金額です。金利別に「借りてもなんとかなる」借入額の目安をまとめましたので、物件の予算を考える際にぜひ参考にして下さいね。

 ご自身で計算する場合には、次の計算式で算出しましょう。

 手取り年収×30%-返済以外の住居費(税金・管理費等)=①:年間の返済額上限目安

 ①÷12カ月=②:毎月の返済額上限目安

 ②を割り出したら、「毎月の返済額」から「借入可能額」を算出できるシミュレーションサイトを活用し、算出してみてください。たとえば住宅金融支援機構のWEBサイトなどが活用できます。

 マイホームは人生でも最も高い買い物の一つです。長い人生に起きる、さまざまなライフイベントにかかるお金に困ることのないよう、ローンを組む際はきちんと予算をたて無理のない借入をおすすめします。できるだけマイホームの選択を拡げるためにも、将来家を買う予定の人は、頭金をたくさん貯めておくと安心ですね。30%という目安を軸に、ご自身の価値観とすり合わせ、住居費にいくらかけようか考えてみてくださいね。

(ライフヴェーラ代表/みらい女性倶楽部 鈴木さや子)

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