教養・歴史アートな時間

クラシック 第75回全日本学生音楽コンクール東京大会入賞者発表演奏会=梅津時比古

第74回入賞者発表演奏会の様子
第74回入賞者発表演奏会の様子

クラシック 第75回全日本学生音楽コンクール東京大会入賞者発表演奏会=梅津時比古

誰かが聴いてくれるきっかけに 演奏家としてのスタート地点

 音楽コンクールがブームのような状況を呈していると、批判もさまざまに起こってくる。当たっているところもあるので、主な批判をひとつひとつ考えてみたい。

「音楽は競争するものではない」──。これはその通りである。算数や体育と違って、音楽の表現は数値化できない。計算で70点と80点、走り幅跳びが5メートルと6メートルでは誰もが納得するが、「こちらの演奏のほうが音楽的だ」と言われても分かりにくい。しかし、それだけさまざまな価値観を受け入れることができるとも考えられる。2位より1位が絶対に上ということはなく、それぞれが自分の評価を加えて結果を受け取ればいいと言えるだろう。

「演奏家が商品化されてしまう」──。大きなコンクールに入賞すると引っ張りだこになり、本人がじっくり勉強するより、次々に同じ曲の演奏を求められ、揚げ句の果てにあきられてしまうことは、よく起こる。コンクールはオリンピックではない。オリンピックで金メダルをとった人が「引退します」と言っても不思議ではない。しかしコンクールに入賞した人が「引退します」と言ったら変に思われる。コンクールはオリンピックのように…

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